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新型コロナウイルスのPCR検査とは?

PCR検査、抗体検査、抗原検査・・・いったいどの検査が必要なのか?

新型コロナウイルス感染症に対して、現在検査としては、次の3種類の検査法があります。
 
・遺伝子検査(PCR検査)
・抗体検査
・抗原検査
 
実は、それぞれの検査は、感度や、ウイルスを検出できるタイミング、手軽さや専門性など、検査毎に特徴があり、使用する目的も異なります。 一般には、どの検査が必要なのか? 実際には、良く理解されていないケースも多々ありあす。 それでは、まずそれぞれの検査について、整理します。
 

検査の種類 PCR検査(遺伝子検査) 抗原検査 抗体検査
無症状者の検査 簡易検査は不可
抗原定量検査は可
不可
いつから検出できるか 感染〜(4週目以降、陰性になりやすい) 定量検査:感染〜発症後10日
簡易検査:発症後2-9日
観戦後10-14日後
何を検出するか ウイルスの遺伝子(RNA) ウイルスのタンパク質 感染後一定期間後体内でつくられる抗体
何で検査するか 唾液・鼻咽頭ぬぐい液 唾液・鼻咽頭拭い液 血液
利点・課題 感度が高い
専用の分析施設・専門家が必要
最短で3-6時間

短時間(30分程度)で検査できる
コストが安い
専用の機器不要

コストが安い
簡便・専用機器不要
15分程度

特徴 無症状者の感染が検出できる。
感度が高い
短時間(30分程度)で検査可能
コストが安い
短時間(15分程度)で検査可能
コストが安い
主な用途 診断検査・陰性検査(不感染検査) 

発症時の迅速診断検査

新型コロナウイルス罹患者調査
感染経験有無検査


 
 

どの検査が最も望ましいのか?
 

 新型コロナウイルスの検査で、現時点で最も精度が高く、感染直後からウイルスを検出できる検査法は、遺伝子検査(PCR検査)です。 世界中で大規模な遺伝子検査が実施されているのも、まさに市中の感染者を検出し、感染を抑止する上では、この遺伝子検査が最も有効です。
 
しかしながら、遺伝子検査を行う上では、大きな課題があります。
 

  1. 遺伝子分析が実施できるのは、認可された機関のみ
    • 日本では、医療機関、行政衛生研究所、臨床検査機関(法律に基づく臨床遺伝子検査実施機関として認可を受けた民間機関):登録衛生検査所のみが新型コロナウイルスの遺伝子検査を実施できます。 食品や環境などの遺伝子分析を行う検査機関は、医療・臨床検査を行う事は認められていません。 この為、臨床検査に対応できる検査機関が限定されており、分析キャパシティーも制約があります。
  2. 唾液・鼻咽頭拭い液、血液検査の検体を採取ができるのは、医療従事者のみ
    • 新型コロナウイルスの感染検査を行う場合、唾液の採取や、鼻・咽の奥から拭い液を採取する、血液を採取するという人体からの検体の採取が必要ですが、この採取作業を行う事ができるのは、医師・看護師・臨床検査技師と検体採取の有資格者が実施しなければなりません。 特に、検体採取時の感染リスクのあり、十分な研修を受けた有資格者が検体採取を行わないと、従事者が危険にさらされます。
    • このため、全国で検査の為の医療従事者が不足しています。
  3. 遺伝子分析は、専用施設、分析装置、遺伝子分析技術者が必要。
    • 遺伝子分析を正確に実施する為には、感染防止を含む専用施設(BioSafety Level2以上)、遺伝子分析の専用装置、そして遺伝子分析を行える技術者が必須です。
    • 膨大な新型コロナウイルス検査需要に対して、施設・装置・技術者すべてが追いついていない状態にあります。 

 
このように、検査実施機関、検査体制、検体収集体制など、増え続ける検査需要に、体制が追いついていない事、さらには、世界中で遺伝子分析用の試薬の奪い合いが発生し、試薬供給も円滑でない場合があるなど、検査体制の拡充には、困難な体制です。 厚生労働省が実施した、抗体検査による新型コロナウイルス既罹患者調査では、1%程度の陽性が判明しました。つまり、全体の99%は、新型コロナウイルスに感染する可能性があるという事になります。
 

抗原検査や、抗体検査が導入されている目的は?

遺伝子検査がもっとも望ましいにも拘わらず、さまざまな理由で急速に検査数を拡大できない理由は、上記の通りです。 そこで、ウイルスに感染後、体内でウイルスが増加すれば、ウイルスのもつタンパク質を検出する事で感染の診断を行う検査法が、抗原検査です。 「抗原」とは、まさにウイルスそのものを検出します。
この検査法は、酵素免疫法というウイルスのタンパク質と結合する物質を使って、ウイルス量を検査するもので、一旦新型コロナウイルス感染症が発症した場合に、新型コロナウイルスなのか、インフルエンザや他のウイルスか同定する上で、非常に有効です。 簡易検査キットであれば、短時間(30分程度)で、専用の機器も不要の為、医院等でも迅速に検査が可能となります。 発熱外来など、病気の症状が発症した人が新型コロナウイルスかどうか検査する上で、迅速・簡便という特徴があり、多数の検査が可能です。 ただし、ウイルス量が十分に増えていない段階、つまり感染直後〜発症までの間、無症状者の検査はできません。 (抗原定量検査を行う場合は、感染初期段階から検査可能ですが、専用の検査装置が必要となりなす)
 
抗体検査は、有効なのか?
新型コロナウイルスに感染すると、感染初期段階で生成されるIgMという抗体と、感染後1週間程度で生成され、その後長期間にわたり保持されるIgGという抗体が体内で生成されます。
抗体は、ウイルスに感染後10-14日で生成する為、感染しても、無症状者、感染初期段階では、検査しても「陰性」となり、検査時点でウイルスに感染しているかどうかを検査する事はできません。
 
それでは、抗体検査は、何の為に行うのでしょうか。 それは、多数の市民の中でどの程度の人が新型コロナウイルスに感染して、抗体を持っているのか? また一度、生成された抗体がどの程度の期間、ウイルス再感染を防ぐのかを調べる事ができます。 抗体を広範囲で検査する事で、市中での新型コロナウイルスの拡がり、また感染者がもつ抗体がどの程度の期間保持されるかが分かれば、再感染への対策も検討できる為です。 
 

 

 

抗体検査は、「検査時点で感染しているかどうか」検査できません!

新型コロナウイルスの感染の有無を診断する為には、原則として遺伝子検査・抗原検査(及び両方の組み合わせ)が必要です。 現在、多くの国が海外よりの入国者にPCR検査を入国の3-5日前に実施して、証明書を要求する理由が、無自覚(無症状)者を確認する為には、PCR法による遺伝子検査が必須である為です。 
 
新型コロナウイルスの非常にやっかいな事実は、
・感染しているのに、無自覚(無症状)な人が全体の半数近い感染拡大の原因となっている。
・感染しても発症する前の段階から、強い感染力をもつウイルスを飛沫で放出している。
 
つまり、「本人も気付かない間に」感染を引き起こしているという問題です。 幸い、7月17日より、PCR検査の為の検体採取方法として、「唾液」が認められた事です。 鼻咽頭よりの拭い液の採取は、鼻やのどの奥に綿棒を差し込んで、綿棒で拭い液を採取します。しかし、鼻や喉の奥に綿棒を挿入すると、くしゃみや、嘔吐などの生理反応が生じる場合も多く、検体採取する人が飛沫を浴びて感染する恐れがあり、検体採取の為、隔離室、隔離キャビネット、屋外、車中など、採取の為の設備もより複雑でした。 唾液で検体を採取する場合、チューブに、唾液を垂らして採取するだけなので、検体採取での飛沫感染リスクは大幅に低下し、より簡単・安全に検体を採取できるようになりました。 今後、唾液採取によるPCR検査が広範囲に実施される事で、より効率良く検査が実施できると期待されています。

 

 

Tentamusグループは、世界各地でCOVID-19関連検査、食品、水検査などを提供。 Tentamus グループの遺伝子分析グループは、相互に連携を取り、精度管理の向上への取組、常に最新の検査手法の開発と共有を進めています。

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